帯状疱疹について調べてみた件

帯状疱疹(たいじょうほうしん、英: Herpes zoster, Zoster)とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(英: Varicella-zoster virus)によって引き起こされるウイルス感染症の一種。

疫学的知見

「1年の中で特に起こりやすいという時期はない」とされていたが、宮崎県内の医療機関(開業医39施設と総合病院7施設)が1997-2006年に行った4万8388例(男2万181人、女2万8207人)に対する調査では、8月に多く冬は少なく、帯状疱疹と水痘の流行は逆の関係にある。この現象は、10年間毎年観測されたとしている。この調査とは別に、年齢的に水痘患者数の多い小児との接触の機会の多い、幼稚園や保育園の従事者には帯状疱疹の患者数が少ないことも明らかになっている。これは、ウイルスとの接触によりブースター効果がおき免疫価が高くなり帯状疱疹が発症し難くなっていると考えられる。一般的には、体調を崩しやすい季節の変わり目に多い。基本的には一生に1回であることが多いが、2回以上罹患する人もいる(発症部位は異なることが多い)。再発するのは5%以下。ただし、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病や後天性免疫不全症候群(AIDS)、骨髄疾患や免疫抑制薬などで免疫機能が低下していると短期間に何回も繰り返す。

また、2014年10月より水痘ワクチンの1?2歳児を対象とした定期接種化が実施された事で、帯状疱疹患者の急増が認められているとの報告がある。

帯状疱疹の活性化時期には体液中に水痘ウイルスが存在する可能性があり、口腔内から検出されることもある。また皮膚と皮膚の接触感染は勿論、体液感染や飛沫感染、物品を介しての伝染の可能性もある。

妊娠中に帯状疱疹を発症しても非妊娠時と経過は変わらず先天奇形は起こらないと云われているが、帯状疱疹は胎児に感染するので、産婦人科での診察が必要である。高齢者の場合、神経痛が強く残ることがある。疱疹後神経痛、帯状疱疹後神経痛という。その治癒は、場合により長びく。

臨床所見

原因

帯状疱疹は潜伏感染している水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因であって、他人から感染して発症するわけではない。しかし、水痘を罹患したことがない人物(特に子供・妊婦には注意が必要)には、接触感染などで水痘として感染する恐れがある。

一度水痘に罹患すると、たとえ治癒しても水痘のウイルスが神経節中に潜伏している状態(潜伏感染)が続く(この状態自体に害はない)。ストレスや心労、老齢、抗がん剤治療・日光等の刺激などにより免疫力が低下すると、ウイルスが神経細胞を取り囲んでいるサテライト細胞の中で再度増殖する(再活性化する)ことがある。この増殖によって生じるのが帯状疱疹である。ウイルス再活性化のメカニズムは不明。

60歳代を中心に50歳代?70歳代に多くみられるが、過労やストレスが引き金で若い人に発症することもある。年齢が若いから軽症ですむとはかぎらず、その患者の抵抗力により重症度が決定される。初期に軽症であっても、無理をすることでいくらでも重症化する疾患である。

ごく稀に、骨髄移植に伴いドナーが保有していた病原体により移植後に発症する事がある。

一般的な症状

知覚神経の走行に一致して、皮疹出現の数日前から違和感や疼痛が出現することが多い(皮疹と同時、或いは出現後の事もある)。その後一般に帯状に紅色丘疹・浮腫性紅斑・紅暈を伴う小水疱が列序性に出現し、疼痛やそう痒感を伴う。。神経痛・神経障害のみで皮疹が出ないという病態(zoster sine herpete)もある。2週間以上治癒しない場合、免疫機能の異常が考えられる。

症状や発症部位によっては合併症として以下がある。

  • 三叉神経第一枝領域(前頭部・前額部)に発症した場合や、ウイルス血症から水痘のように全身に水疱が播種状に出現した場合は、ウイルス性髄膜炎合併のリスクが高い。
  • 鼻背や鼻翼に水疱を形成した場合をハッチンソン兆候と言い、三叉神経第一枝(眼神経)の枝である鼻毛様体神経が犯され、眼合併症(ぶどう膜炎・角膜炎)を来す可能性が高くなる。
  • 耳介やその周囲に水疱を形成した場合、聴神経の障害により眩暈・耳鳴が、顔面神経の障害により顔面神経麻痺(ラムゼイ・ハント症候群)に注意が必要である。
  • 臀部下方や外陰部に水疱を形成した場合、稀であるが仙髄に影響が及び、膀胱直腸障害(排尿障害・尿閉・便秘)を来すことがある。
  • また、まれに特徴的な発疹を生じずに脊髄炎を起こした例や、歯槽骨の壊死・歯の脱落が発生することもある。なお、歯槽骨以外の骨の壊死の報告はない。

    帯状疱疹に伴う神経痛様疼痛の総称で、皮疹が生じている最中の激しい疼痛と皮疹治癒後に継続する痛みである。なお、皮疹発症後1?3カ月を越えて残る疼痛は帯状疱疹後神経痛と呼ばれる。これは急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことで起きる。急性期の痛みは皮膚の炎症や神経の炎症によるが、帯状疱疹後神経痛は神経の損傷によるものなので、痛みが残った場合はペインクリニックなどでの専門的な治療が必要になる場合がある。なお、この症状は、皮膚症状が重症な人、眠れないほどの痛みがある人、または高齢者ほど残り易いときれ、約30% が帯状疱疹後神経痛に移行するとの報告がある。

    診断・検査

    臨床症状と経過で容易に診断できる事が多いが、時に虫刺され、接触皮膚炎、単純ヘルペス、水痘、自己免疫性水疱症、熱傷などの疾患と鑑別を要することがある。帯状疱疹はどの部位にどの様な形で出るかも不明ということもあり、早めの兆候を見逃さず、症状を過小評価しないことが大切である。特に上記の眼・顔面神経麻痺・膀胱直腸障害は皮疹出現から1週間以上経過した後に出現することもあり、注意を要する。

    ツァンク試験(Tzanck試験)は、水疱内容物を塗抹標本とし、ギムザ染色を行い巨細胞を検出する検査で、帯状疱疹以外でも巨細胞は多々認められるが、迅速診断としての有用性は高い。確定診断としては水疱内容物のウイルス抗原を検出する方法、水疱内容物や血液中のウイルスDNAを検出する方法、血清IgG抗体価の上昇を確認する方法があるが、通常は行われない。一般のVZVモノクローナル抗体はHSVでも抗原抗体反応(交叉反応)を起こす。

    治療

    アシクロビル、ビダラビン、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬が有効で、点滴や内服による治療により治癒までの期間短縮が期待できる。ただし、抗ウイルス薬は水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖抑制効果しかなく、病初期に投与しないと効果が期待できない。よって、病初期以外は症状を緩和する治療が主となる。同時に安静にし体力を回復することも大切である。適切な治療が行われれば、早ければ1週間ほどで水疱は痂皮化し治癒する。程度により水疱部が瘢痕化することもある。帯状疱疹の出現している時の急性期疼痛に対しては、アセトアミノフェン、リン酸コデイン、アミトリプチリンが欧米で使用されている。また、副腎皮質ステロイドの全身投与も急性期の疼痛を除去する作用がある。

    帯状疱疹関連痛(神経痛様疼痛)は、治癒した後も後遺症として残ることがある。眼と関係する顔面神経で神経痛様疼痛が発症した際に、適切な治療をしなければ視力に影響が出ることがある。神経痛様疼痛に対する治療法は確立していないが、疼痛に対し漢方薬による疼痛緩和療法や鍼灸療法などが行われる事もある。現在では必要に応じ対症療法として神経節ブロック、理学療法、非ステロイド性抗炎症薬、抗うつ薬、抗けいれん薬、レーザー治療などを行う。

    帯状疱疹後神経痛の治療法具体例として以下のようなものが挙げられる。※印は保険適応外である。

  • 薬物療法
  • ワクシニアウィルス接種家兎皮膚抽出液(ノイロトロピン)
  • 抗うつ薬(アミトリプチリン単独、および神経ブロックの併用)。アミトリプチリンは日本では1961年に薬価収載された抗うつ薬だが、2016年2月、「末梢性神経障害性疼痛」の効能が追加された。
  • 非オピオイド
  • アセトアミノフェン
  • 非ステロイド系抗炎症薬 ※
  • オピオイド(麻薬除く) (トラマドール)
  • 麻薬 (コデイン、塩酸モルヒネ、フェンタニル)
  • 漢方薬(桂枝加朮附湯など) ※
  • 塩酸メキシレチン ※
  • プレガバリン(2013年2月より、効能は「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」)
  • 局所療法
  • カプサイシン、アスピリン、硝酸イソソルビドなどの外用 ※
  • 神経ブロック
  • イオントフォレーシス ※
  • 低出力レーザー ※
  • 予防

    上記の通り、帯状疱疹は潜伏感染している水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化によって引き起こされるため、そもそも水痘に罹患しなければ帯状疱疹は発症しない(水痘生ワクチンにより帯状疱疹を発症する例もあるが、非接種と比較して低いと考えられている)。2014年10月より水痘生ワクチンが定期接種になり、今後は水痘罹患者が、将来的には帯状疱疹発症者の低下が期待される。なお、ワクチンによる免疫は、3?11年で減弱するとされている。

    米国での研究では水痘ワクチンを数万人の50歳以上の成人に接種することで、帯状疱疹の発症を対照群の半分に、主観的に痛みを残す人を3分の1に減らすことができたと主張するデータもある。2006年に、米国では60歳以上を対象とする帯状疱疹ワクチンとして承認された、このワクチンはいわゆる「水ぼうそうのワクチン(水痘ワクチン)」のことであり、数十年前に日本で研究開発されたワクチンである。米国のみならずEUなど30カ国以上で「帯状疱疹の予防目的」で広く使われている。日本でも2004年に4月に接種対象者として「水痘ウイルスに対して免疫能が低下した高齢者」が追加され、2016年3月には効果・効能として「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」が追加されたが、費用は自費となる。免疫力が落ちてくる60代以上の高齢者で、帯状疱疹をしたことがない人には帯状疱疹後神経痛を回避するためにもワクチンの使用が推奨される。

    免疫抑制剤を使用することになった患者で、帯状疱疹ワクチン接種を受けたもの・受けていないものを対照に前向きコホート研究を行った研究がある。帯状疱疹の発生率は免疫抑制剤使用後において、ワクチン接種により約42%低下した。

    帯状疱疹になる人はストレスや疲労により免疫力が下がっている状態なので、慢性的に不規則な生活を送る事や、過度の疲労、心労を要する作業を続ける事は控えた方が良い。規則正しい生活と、十分な栄養の摂取、心の安静が必要である。

    その他

    帯状疱疹の発疹治癒後に神経痛が発症する事があるが、この痛みは冷やすと悪化し暖めると緩和される傾向がある。水疱(腫れ部分)が破れると緑膿菌やブドウ球菌などの化膿性疾患の原因となる細菌の2次感染が起こりやすくなる為、細菌による化膿を防ぐため、水疱は破らないよう注意する。また、入浴に関しては医師の判断が必要。

    方言

    帯状疱疹という病気は、身近な病気であり、日本の各地に方言が存在する。

    東北・北関東地方では「つづらご」「はくじゃ」、南関東では「ひっつらご」、中部地方では「つづらご」「おびくさ」、関西地方では「胴まき」「たすき」「おび」、中国四国地方では「胴まき」「けさ」「けさがけ」「けさよう」、九州地方では「胴巻き」「たづ」「へびたん」「たん」等という。

    ※ 参照元:https://ja.wikipedia.org